有機稲作入門講座(第8回)稲の刈り取りとはざ掛け

9月13日(土)、有機稲作講座の第8回目を開催しました。
今回はいよいよ稲作のクライマックスとも言える稲刈りです。現在ではコンバインで刈って機械乾燥するのが一般的ですが、今回の講座ではバインダーという小さな機械で稲刈りをして、天日干しを行います。

この日は前日に大雨が降ってしまい、田んぼに水が貯まっていました。風も吹いたので、稲も斜めに倒れ気味です。田んぼのコンディションとしては、少々難易度の高い稲刈りです。

最初に、手刈りをして束ねる方法を学びました。機械で刈る場合でも、田んぼの四隅は手で刈る必要があります。講師のデモンストレーションの後、さっそくみんなで刈っていきます。

八木講師による手刈りのデモンストレーション
手刈りを実践

次に、バインダーにオイルをさす方法を学びました。機械整備の方法を知ることも欠かせない知識の一つです。

バインダーにオイルをさします。

バインダーの準備が整ったら、いよいよ実際に稲を刈っていきます。講師のデモンストレーションの後、一人ずつ、説明を受けながら使っていきます。実際に刈っていく中で、「まっすぐ田植えするのが大事なんですね!」と、田植えのできが稲刈りのやり易さに直結してくるという気づきもあったようです。

初めてのバインダー作業
2台のバインダーで刈っていきます。

稲を刈りおえたら、次は稲を干すための骨組みである「ならし」を立てます。この地域では「ならし」ですが、「稲架(はざ、はさ)」など、地域によってさまざまな呼び名があります。

この「ならし」、実際に立ててみると、これがなかなか難しい!細かいコツがいろいろあって、この講座の中だけでは全てを伝えきれないので、それは今後、各自が経験を積みながら学んでいくことになります。

初めてのならし作り

ならしを立てたら、今度は先ほど刈った稲を掛けていきます。「今日みんなで刈った1列分は完成させたいね!」ということで、スピードアップして、ならしを立て、稲を掛けていきます。

稲架掛け作業
稲架掛けが完成

蒸し暑く、足元もぬかるんで大変なコンディションでしたが、無事、講座の時間内に1列完成させることができました。


次回は脱穀。2週間後を予定していますが、脱穀はお天気次第でできるか決まるので、お天気に恵まれることを祈っています。

有機稲作入門講座(第7回)稲の生育観察と学習、獣害対策

7月19日(土)、有機稲作講座の第7回目を開催しました。
この日は稲の生育に関するビデオ学習の後、田んぼで実際に稲を観察し、獣害対策についても学びました。

最初に、稲の生育に関するビデオを視聴しました。稲の生態は知らないことばかりで興味深いですが、なかなか専門的で難しい内容もありました。

稲の生育について映像で学びました。

その後、田んぼに移動して、実際に稲や田んぼの様子を観察しました。
現地ではまず、獣害対策について話を聞きました。山に囲まれたこの田んぼの周辺では毎年イノシシが出ます。当初は講座で電柵を張る実技を予定していましたが、その前に田んぼにイノシシが入ったため、講座の日を待たずに電柵を張りました。イノシシ対策は待ったなしですが、実際に狩猟を行っている人はほんの一握り。獣害は増えるばかりだと言います。

狩猟免許を持つ根岸講師から獣害について話を聞きました。

その後、田んぼをぐるりと回り、穂が出てきている稲の様子や、イノシシの入った形跡、ザリガニが稲を切った跡、外来種の雑草、稲の花が咲いている様子などを観察しました。花と言っても、花びらがあるわけではなく、白く見えているのは稲の雄しべです。とても小さく、遠目では見えないサイズです。

外来種の雑草
花が咲いています。

観察が終わると、別の田んぼに移動して、田んぼごとの様子の違いを観察しました。同じように育てていても、田んぼ一枚一枚、様子が異なります。草が出てしまった田んぼは葉の色が薄くなっています。「品質に影響は出るのか?」「味は変わるのか?」受講生から様々な質問が出ていました。

様々な田んぼの様子を観察しました。

最後に自分たちで植えた田んぼを見に行きました。植えた時、とても小さかった苗がここまで育ったことを喜びつつ、皆さん、じっくり観察していました。

自分たちの植えた稲を観察しました。

真夏のこの季節は、ほっと一息ついて、座学の時間が取れる時期でもあります。座学と実技を合わせて、学びを深めていきたいですね。

有機稲作入門講座(第1回)を開催しました「塩水選と畦切り」

4月5日(土)、有機稲作入門講座の第1回目が開催されました。
この日は二人の講師が座学を行った後、塩水選と温湯消毒さらには実際に田んぼに出て、畦(くろ)切りを行いました。

座学では、稲作の全体の流れ、肥料のこと、苗作りのこと、土の調達や雑草の対策などについて話しがありました。無農薬・無化学肥料と言っても、様々なやり方があります。今日は中規模/比較的大規模で稲作を行っている二人の講師がそれぞれのやり方を説明しました。この講座では、一つのやり方を実際に体験しながら学びますが、それ以外のやり方も紹介していきます。複数の講師から、異なるやり方、違う視点を学べるのが、本講座の特徴の一つです。

講座の初めはオリエンテーションと座学
講師二人のそれぞれの稲作について講義がありました。
講座の初めはオリエンテーションと座学 講師二人のそれぞれの稲作について講義がありました。

座学の後はいよいよ実技。最初の作業は塩水選です。これは塩水の比重を使って充実した種もみを選ぶ方法で、塩水に籾を入れて、浮いたものをすくい取ります。それが済んだら熱いお湯に籾を入れて消毒します。農薬を使わずに、効果的に籾を消毒することができます。

塩水選作業中。浮いた籾を取り除いて、沈んだ充実した種籾を選別!
塩水選作業中。浮いた籾を取り除いて、沈んだ充実した種籾を選別!

次に、2通りの育苗の方法を見学しました。田んぼに苗代(なわしろ)を作る方法と、ハウスの中で水を溜めてプールで育苗する方法です。ハウスの方が早く育苗を始めているので、既に青々とした苗が育っていました。

八木農園の苗代(露地)を見学
やぎ農園の苗代(露地)を見学
有機農園ねぎぼうずの育苗ハウス内のプール育苗の苗を見学
有機農園ねぎぼうずの育苗ハウス内のプール育苗の苗を見学

この日最後のメニューは畦(くろ)切りです。畦切りは畦(あぜ)の縁を細長いスコップで切って落とす作業です。朝の座学で、水を漏らさないことがとても大切だという話がありましたが、今回の畦切りと次回行う畦ぬりは田んぼにしっかり水を溜めるための、春の大事な作業です。みなさん順調に畦を切り進めていき、2反の田んぼの作業がたった30分で完了しました。

ホソでくろ切り
ホソでくろ切り

今年はこの田んぼが有機稲作入門講座のフィールドとなります。
これからどんな景色に変わっていくのか楽しみです。

有機稲作入門講座の舞台となる三芳千代(せんだい)地区の2反田
道の駅三芳村鄙の里近くです。
有機稲作入門講座の舞台となる三芳千代(せんだい)地区の2反田 道の駅三芳村鄙の里近くです。